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2011-12-01(Thu)
彼女は携帯から視線を外し、僕を見据えると満面の笑みを見せたのです。
「翔の彼女の名前は、黒木唯(くろき ゆい)さん」
ガァーン「なんで、わかんねん」
「バッカねぇ、そんなの簡単でしょ」
「なんで?」
「この携帯、初心者」
「えっ?」
「だって、あいうえお順に並んでるけど、番号順に直したら私の次が黒木さんだもの」
あっ、ちゃぁー、それ、忘れとった。
「一発で当てたら、面白く無いでしょう。 ちょっと悩むフリしたの」
どうやらあさみにも頭があがらないようです。
「どう、面白かった?」
「おもろ、あれへん」
「そんなにすねないの。 そっかー、黒木さんね。 でもクラス違うからどんな人かわかんないよね」
心のなかでちょっとホッとしました。
「今度、調べてみよっと」
「おいおい、変なことすんなよ」
「大丈夫、私も人の恋路をじゃまするほど野暮じゃないし、そんな事をしたら返って恨まれちゃうでしょ」
「頼むよ」
「それより、もし私に彼氏ができて、悩み事が出来たら相談に乗ってね」
「別にかまへんよ。 話し聞くぐらいなら」
「ねぇねぇ、黒木さんと手つないだことある?」
ギグッ!
「えっ、あるんだ」
無反応になってしまいました。
「じゃぁ、キスしたことは?」
ギグ・ギグ・ギグッ
「ええっ、あるの。 じゃぁ、その先も?」
たたみかけられるような質問に戸惑ってしまいましたが、
その先と言われると全力で否定しなければなりません。
「それはあれへんって」
「そう、面白く無いわね」
いとも簡単に引き下がったのでホッとしました。
「なにがおもろないねん」
「彼女と言えるんだから手つないだり、キスぐらいはするわよね」
「・・・」
「ふ~ん、その先は、経験ないんだ」
2011-12-03(Sat)
「ふ~ん、その先は、経験ないんだ」
ギグッ、一瞬、奈美の裸体が浮かびました。
「えっ、あるの!」
ギグッ!「ええっ、そんなん、あるはずないやん」
「うそだ。 だって今、何か思い出したみたいだった」
「ちゃうて、そんなん、あれへん。 あるはずないやろ」
「うそっ! ちゃんと顔に嘘って書いてある」
固まってしまいました。
「ああっ、わかった。 ひょっとして・・・そのお相手は黒木さんじゃないんだ」
もう破れかぶれです。
「・・・」
「思ったよりやるわね」
「・・・」
「ますます決まりね。 否定しないんだもん」
何にも言えなくなるとはこのことです。
「思ってたより女の子に手出すの、早いんだ」
「・・・」
「私もここにいたら危ない?」
そんなことあるはずないやろと思ったけど、口には出しませんでした。
「ふ~ん、いろいろ教えてね。 先輩っ!」
「先輩って・・・」
「だってあたしはそこまで経験ないもの。 だから先輩」
「・・・」
「勿論このことは誰にも内緒にするし、当然黒木さんにも。
あたしが黒木さんと話をすることもないと思うけど、もしあったとしても絶対言わないから安心しといて」
「そんな事言われても」
「大丈夫、黒木さんだけじゃないわ。 私の友達にも絶対言わないから。 私だけの秘密」
「・・・」
「そっか、フェアーじゃないわね。 私の秘密も握っとく?」
「そんなん、言われても、困る」
「じゃぁ、私だけが喋っちゃうわね。 私も男の子とデートして手握ったり、キスしたことはあるわ。
でもその先はまだないの。 で、・・・」
「?」
「で、私に告白したのは同じクラスの竹下くん」
同じクラスと聞いて思い出した。
あまり話したことはないけど、確かサッカー部のナンパみたいな野郎。
いつもヘラヘラ笑ってて大声で喋ってるうるさい奴、そんな印象だった。
「これでお互いの秘密の握り合いっ子。 もし竹下君のことがバレたら翔だと思っちゃうからね」
「ええっ、そんな」
「だからお互いの秘密。 ああっ、なんかドキドキしてきた。
付き合ってもいないのにお互いのそんな秘密知ってるって、なんかワクワクしない?」
「うっ、うん・・・」
「そろそろ遅くなっちゃうから、あたし帰る」
「あっ、うん」
「今日は私が誘ったから、私のおごり。 でも今度からちゃんと割り勘にしようね」
「そんなん、悪いって」
「ううん、いいの。 今日だけ特別。 イコ」
席を立つと精算をすまし表に出ました。
「今日、来てくれてありがとう。 話ができてよかったわ。 でも本当は来るの嫌だったんでしょ」
「いや、そんなことは」 儀礼的な返事をしてしまった。
「本当に嫌だったら、席に来なくてもメールくれればよかったのに」
あっちゃぁー、その手があったか、思いつかんかった。 まだまだ携帯初心者。
≪第二章 携帯電話 終り≫
2011-12-06(Tue)
≪第三章 黒木家宅≫
それから数日たって携帯電話の名前登録数は50近くまで増えました。
たぶん連絡は取らない奴もいっぱいいるけど、そんなことは気にしない。
増宮の名前を黒木さんに知られないためにも頑張って増やすことだけ専念したのです。
それでも女性名義は少ない。
女友達ってそう簡単には作れないし、入れたら入れたらで困ったことにもなりそうで。
後は自然増加を待つだけ、そんな気持ちでした。
黒木さんとのメールのやり取りはそんなに多くなく、この所は周4~5回程度です。
なんて書いていいのか分からないし、近況報告もまたおかしいし。
んで、結局は言われたことの返信がほとんどでした。
でもやっぱり何かこっちから発信しないといけない義務感に襲われ、
先日、約束した彼女んちにお邪魔する日は何時にしようとメールをしてしまいました。
早速返事が返ってきて、とうとう来週の日曜と決まってしまったのです。
あせった、自分から言い出したこととはいえ、彼女のおうちに行くのは緊張します。
とりあえず今週末に散髪屋に行き五分刈りに整えました。
今時、坊主頭は流行らないけど野球部のトレードマーク。
彼女の両親に合うとすれば、まずは身なりをきちんとしなければなりません。
1週間前だというのに着ていく服も考えました。
まずおしゃれの基本は下着から・・・散髪屋さんの帰りにシャツ・パンツ・靴下を買いました。
清潔感いっぱいの感じで望みたいと思ったからです。
あとは上に着る服。
あまりヨレヨレだったら恥ずかしいので、なるべく新品のものを選びました。
それと初めて伺うのですから訪問手土産です。
考えた結果、やはりいいと思ったのは駅前にあるケーキ屋さんのクッキー。
ノーマルですがこれしか思いつきませんでした。
これで準備万端OK、あとはその日を待つだけになるとドキドキしてきました。
粗相はしないだろうか、言葉使いはちゃんと喋れるだろうか?
不安だらけだけど、
野球では本番に強いボクだけにあとはなんとかなるだろうと自分に言い聞かせ布団に入る毎日でした。
とうとうその日がやって来ました。
午前中は野球の練習試合があり、
3年生中心の1軍と、3・2年生が中心の2軍の試合が行われたのですが、
この2軍の練習試合で初めて1年生のボクにピンチランナーを命ぜられ、
そのまま7回からセンターを守ることになったのです。
野球をやっているときは不思議と雑念が浮かばないのですが、
何故かこの時ばかりはいっぱいいろんなことが湧いて出てきました。
外野って、普段は結構、暇な方。
それでもいきなりフライをあげられると、急に忙しくなるポジションですから緊張を切らしてはいけないんですが、
次から次へと雑念が湧いて出てきます。
黒木さんのことだけではなく、そういえば奈美はどうしているだろうか。
そんな事も頭に浮かんできました。
奈美にはまだ携帯を買ったことを知らせていないし・・・悪いなぁ・・・
あっ、やべっ! ボール、飛んできた。