2010-02-25(Thu)
麻衣妖炎 第八十五話
≪生命の誕生≫
「皆のもの、良く聞け!」
「我らの男神様は、再び我ら兵士の出陣を求めておる。
昨夜からの戦で男神様は我等同士の出陣を3回求められた。
戦場からの伝令は帰ってこぬが、男神様から全員憤死と聞いておる。
初陣は甘い策略にはまってしもうた。
2陣、3陣は敵の防護ネットで絡め取られてしもうた」
「でも我ら4陣は今までと違うと男神様は言うておられる。
甘い策略も防護ネットを取り払われた。 兵のすべてがまともに戦ができるのじゃ。
しかし戦は過酷なもの。 この戦はたった一人の姫を奪い合う戦いなのじゃ。
男神様は憤死の覚悟で頑張れば必ず姫に出会えると仰せられる。
頑張ろうではないか! 皆のもの!」
「おおおぉお! やるぞ~、勝つぞ~ きっと姫を奪い取るぞ~」
「再び聞け!
我ら同胞は見るところ1億数千万人しか残っておらず、今までと比べかなり兵士の数が減っておる。
それでも1億数千人の中からたった一人しか姫に出会えることが出来ぬ。
選ばれし戦士のみが姫が迎えてくれるのじゃ。
選ばれるためにはかなりな困難が待ち受けているが、それでも構わぬか!」
「そんなもの! 姫とズッコン・バッコンやれるんだったら、命かけても必ず姫を奪い取る。
困難なものなど我にはない!」
「そうだ! そうだ! ズッコン、バッコンやるぞ~!」
「おおっ! 頼もしい言葉じゃ。 期待しておるぞ。
出陣の時は近い! 皆の者! 用意はいいかぁ!」
「おおおぉぉおお~! 早くこの狭い場所から出してくれ。
美しい姫に会いに行くのじゃぁ」
「皆の者! 進軍ラッパじゃ! 行くぞ~ぉ!」
「おおぉ!」
1億数千万の兵が一気に戦場に駆け出した。
ドッドッドッドッ・・
地響きに似た振動が伝わり、
なにせ日本の人口に近い兵が一気に駆け出すのだから戦場は修羅場化となった。
戦の場に出るとそこは広い。
「姫はどこじゃ、こんなに広くてはわからんぞ」
「なんじゃこれは、黒くて大きな物体が動いておるぞ」
「それは男神様の根じゃ、そっちに行くと下界に放り出されるぞ」
「そんなの嫌じゃ、戻るぞ!」
だが大勢の兵士により行く手を阻まれ進撃が出来ない。
もっとも昨夜からの連続した出陣で、男神様は兵を急生産した。
そのおかげで五体満足な身体を持つ兵は少ない。
手のない者、足のない者などの者は力弱くそのまま脱落していった。
「なんだこの雨は、身にかかると体がとけるぞ」
「これは酸性雨じゃ。 気をつけてかかれ。 逃げた方が良いぞ」
「なんと! 酸性雨か? 地球温暖化、反対!」
多くの兵士が酸性雨にやられ、なぎ倒されていく。
「何じゃこの白い物体は? 体にねっとりからみつくぞ」
「それは女神様を守る白血球という白虎隊じゃ。
女神様が病気にならないように体を守る先鋭部隊なんじゃ。
ウイルスと間違われるとやられるぞ」
「おう、俺は病原菌ではないぞ。 絡みつくな!」
「そうだ、そうだ。 俺達は新型ウイルスと違うぞ!」
「そんなことを言うておる暇なぞ、ないぞな。 早く行かないと姫を取られてしまうぞな」
「おおおぉお、地面が揺れる。 落ちるぞ。 助けてくれ」
「落ちたら仕舞いじゃ。 二度と戻れんぞ。 早く登れ」
「そんなこと言われても・・・ ああぁぁー落ちるぅ・・」
地面、壁、天井からくる震動は女神様のお導き。
だがそれは反作用のこともある。 導かれないものは脱落あるのみ。
「姫はどこじゃ、さっぱりわからんわい」
突然天空がゴォーと唸り何かの物体が降りてきた。
それは子の宮、宮殿の入口。
「お~い、皆の者。 子の宮の入口が舞い降りてくるぞ」
「おおぉ! 甘い芳香がするぞ。 きっと姫が放ってくれた香りじゃ」
「そうじゃ、子の宮の入口から、その香りがするぞ! そっちに進め!」
「いくぞ~、おらが先じゃ」 懸命に走る兵士たち。
この先頭集団の中からきっと一番乗りが出てくるはず。
子の宮の入口に入ると、そこは暖かく、元気にしてくれる泉が湧いている。
「おお、なんか元気になれたぞ。この液体はイチローが愛飲している栄養剤か?」
「これはアルカリ性水溶液じゃ」
「なんか難しいぞ、わからんでもかまわん! 先に進むぞ!」
先頭集団は足を懸命に振り走る走る。
「甘い香りは強くなったぞ。 姫はもうすぐそこじゃ」
ただ兵士たちにも走り疲れが見え始めた。
フルマラソン並の長距離走は次々と脱落者を出し、しだいに兵士の数も減っていった。
「おおぉ!あそこじゃ、あそこに光り輝くものが見える。あれがきっと姫じゃ」
兵士たちは最後の力を振り絞り、懸命に姫のもとに駆け付けた。
「俺がトップだ。 姫よ、姫。 どうか私を受け入れてくれ」
「あぁ、殿方よ。 お待ち申し上げた。 わらわは姫。
姫はどんな殿方でも最初に現れた殿方と結ばれるのが定め。
しかし殿方よ。 しばし遅すぎた。 わらわの命は3日と持たぬ。
ご覧なされ、わらわの姿はもうシワだらけになってしもうた。
もう新しい息吹きを芽生えさせることはできぬ。
だが殿方よ。
わらわの主、女神様は月に一度、また新しい姫を誕生させる。 それまでお待ち頂けぬか」
「だめだ、おらの命も1週間と持たぬ。 ここで1か月も待てぬ
「ならばいたしかたなきこと。 お互い手を取り合い、時が来るまで眠ろうではないか」
ここで眠れば死を意味する。
月に一度、今まであった宮殿は崩れてしまう。
女神様とその兵士はそこで眠るとなれば、宮殿ごと流されてしまう。
それでも兵士は姫を抱きしめた。 遅れて数人の兵士が到着する。
その兵士たちもただ茫然と見守るしかなかった。
「皆のもの、良く聞け!」
「我らの男神様は、再び我ら兵士の出陣を求めておる。
昨夜からの戦で男神様は我等同士の出陣を3回求められた。
戦場からの伝令は帰ってこぬが、男神様から全員憤死と聞いておる。
初陣は甘い策略にはまってしもうた。
2陣、3陣は敵の防護ネットで絡め取られてしもうた」
「でも我ら4陣は今までと違うと男神様は言うておられる。
甘い策略も防護ネットを取り払われた。 兵のすべてがまともに戦ができるのじゃ。
しかし戦は過酷なもの。 この戦はたった一人の姫を奪い合う戦いなのじゃ。
男神様は憤死の覚悟で頑張れば必ず姫に出会えると仰せられる。
頑張ろうではないか! 皆のもの!」
「おおおぉお! やるぞ~、勝つぞ~ きっと姫を奪い取るぞ~」
「再び聞け!
我ら同胞は見るところ1億数千万人しか残っておらず、今までと比べかなり兵士の数が減っておる。
それでも1億数千人の中からたった一人しか姫に出会えることが出来ぬ。
選ばれし戦士のみが姫が迎えてくれるのじゃ。
選ばれるためにはかなりな困難が待ち受けているが、それでも構わぬか!」
「そんなもの! 姫とズッコン・バッコンやれるんだったら、命かけても必ず姫を奪い取る。
困難なものなど我にはない!」
「そうだ! そうだ! ズッコン、バッコンやるぞ~!」
「おおっ! 頼もしい言葉じゃ。 期待しておるぞ。
出陣の時は近い! 皆の者! 用意はいいかぁ!」
「おおおぉぉおお~! 早くこの狭い場所から出してくれ。
美しい姫に会いに行くのじゃぁ」
「皆の者! 進軍ラッパじゃ! 行くぞ~ぉ!」
「おおぉ!」
1億数千万の兵が一気に戦場に駆け出した。
ドッドッドッドッ・・
地響きに似た振動が伝わり、
なにせ日本の人口に近い兵が一気に駆け出すのだから戦場は修羅場化となった。
戦の場に出るとそこは広い。
「姫はどこじゃ、こんなに広くてはわからんぞ」
「なんじゃこれは、黒くて大きな物体が動いておるぞ」
「それは男神様の根じゃ、そっちに行くと下界に放り出されるぞ」
「そんなの嫌じゃ、戻るぞ!」
だが大勢の兵士により行く手を阻まれ進撃が出来ない。
もっとも昨夜からの連続した出陣で、男神様は兵を急生産した。
そのおかげで五体満足な身体を持つ兵は少ない。
手のない者、足のない者などの者は力弱くそのまま脱落していった。
「なんだこの雨は、身にかかると体がとけるぞ」
「これは酸性雨じゃ。 気をつけてかかれ。 逃げた方が良いぞ」
「なんと! 酸性雨か? 地球温暖化、反対!」
多くの兵士が酸性雨にやられ、なぎ倒されていく。
「何じゃこの白い物体は? 体にねっとりからみつくぞ」
「それは女神様を守る白血球という白虎隊じゃ。
女神様が病気にならないように体を守る先鋭部隊なんじゃ。
ウイルスと間違われるとやられるぞ」
「おう、俺は病原菌ではないぞ。 絡みつくな!」
「そうだ、そうだ。 俺達は新型ウイルスと違うぞ!」
「そんなことを言うておる暇なぞ、ないぞな。 早く行かないと姫を取られてしまうぞな」
「おおおぉお、地面が揺れる。 落ちるぞ。 助けてくれ」
「落ちたら仕舞いじゃ。 二度と戻れんぞ。 早く登れ」
「そんなこと言われても・・・ ああぁぁー落ちるぅ・・」
地面、壁、天井からくる震動は女神様のお導き。
だがそれは反作用のこともある。 導かれないものは脱落あるのみ。
「姫はどこじゃ、さっぱりわからんわい」
突然天空がゴォーと唸り何かの物体が降りてきた。
それは子の宮、宮殿の入口。
「お~い、皆の者。 子の宮の入口が舞い降りてくるぞ」
「おおぉ! 甘い芳香がするぞ。 きっと姫が放ってくれた香りじゃ」
「そうじゃ、子の宮の入口から、その香りがするぞ! そっちに進め!」
「いくぞ~、おらが先じゃ」 懸命に走る兵士たち。
この先頭集団の中からきっと一番乗りが出てくるはず。
子の宮の入口に入ると、そこは暖かく、元気にしてくれる泉が湧いている。
「おお、なんか元気になれたぞ。この液体はイチローが愛飲している栄養剤か?」
「これはアルカリ性水溶液じゃ」
「なんか難しいぞ、わからんでもかまわん! 先に進むぞ!」
先頭集団は足を懸命に振り走る走る。
「甘い香りは強くなったぞ。 姫はもうすぐそこじゃ」
ただ兵士たちにも走り疲れが見え始めた。
フルマラソン並の長距離走は次々と脱落者を出し、しだいに兵士の数も減っていった。
「おおぉ!あそこじゃ、あそこに光り輝くものが見える。あれがきっと姫じゃ」
兵士たちは最後の力を振り絞り、懸命に姫のもとに駆け付けた。
「俺がトップだ。 姫よ、姫。 どうか私を受け入れてくれ」
「あぁ、殿方よ。 お待ち申し上げた。 わらわは姫。
姫はどんな殿方でも最初に現れた殿方と結ばれるのが定め。
しかし殿方よ。 しばし遅すぎた。 わらわの命は3日と持たぬ。
ご覧なされ、わらわの姿はもうシワだらけになってしもうた。
もう新しい息吹きを芽生えさせることはできぬ。
だが殿方よ。
わらわの主、女神様は月に一度、また新しい姫を誕生させる。 それまでお待ち頂けぬか」
「だめだ、おらの命も1週間と持たぬ。 ここで1か月も待てぬ
「ならばいたしかたなきこと。 お互い手を取り合い、時が来るまで眠ろうではないか」
ここで眠れば死を意味する。
月に一度、今まであった宮殿は崩れてしまう。
女神様とその兵士はそこで眠るとなれば、宮殿ごと流されてしまう。
それでも兵士は姫を抱きしめた。 遅れて数人の兵士が到着する。
その兵士たちもただ茫然と見守るしかなかった。