2010-04-03(Sat)
堕ちていく私 16 ≪男の部屋に≫
≪ 第六章 男の正体 ≫
男、蒼井は食欲旺盛で、残さず全部たいらげた。
男の豪快な食べっぷりを見ているのは気持ちよかった。
食事そのものは美味しかったが、なんとなく少食になってしまった。
ワインばかり飲んでいたので、少し頭がフラフラしてくる。
それ以降の会話はあたりさわりのない話に内容はあまり覚えていなかった。
食事が終わると席を立つと少しクラッと来た。
大丈夫ですかと腕をつかまれた。 大きな暖かみのある手だった。
よろけた勢いで男の腕にしがみついた。 太くたくましい腕。
心臓の鼓動がドクンとなった。
姿勢を立て直すと「ごめんなさい。 大丈夫です」
「じゃぁ、先に会計を済ませますから、貴女は一度手洗いに行ったほうがいい」
「ごめんなさい。 そうさせてもらうわ」
手洗いを終えるとお会計はすでに済ませ、店の出口で男は待っていた。
丁重に礼を述べた。 男はお気になさらないようにと言ってくれた。
帰り道もゆっくりと歩いてくれる。 夜風がとっても気持ちいい。
暑い夏が終り、これから人恋しくなる季節。
なんとなくこのまま帰りたくなかった。
マンションに着くと「ここでいいですか?」と男は聞いてきた。
「お願いがあるの。 私の部屋がどんな風に見えるか、見てみたいの」
「私の部屋に来たいということですか」
「うん!も~~ぉ・・・ 直接的に言わないでよ」
「あはは、すみません。 でも男一人の部屋に来ると帰れなくなるかもしれませんよ」
「あら、私に興味を持ってくれるの? でも大丈夫、明日もお休みだから」
言ってからとんでもない事を口走ったと、自分で驚いた。
「別に構いませんが、男やもめの何もない殺風景ですよ」
「私の部屋を見に行くのだから、中はどうなっていてもいいわ。
本当に私の部屋を見に行くだけだから・・・」 念を押す自分がおかしい。
男の後をついて行き、部屋に入ると本当に何もなかった。
部屋の真ん中に少し大きめの座敷テーブル。
壁際には万年床と思える布団がしいてあり、小さな洋服掛けがあるだけ。
手荷物を置いて窓際に立つと自分の部屋が見えた。
ただ自分の部屋はカーテンが閉めてあり暗くて何も見えなかった。
「あたしバカよね。 カーテン閉めていたら何も分からないわよね」
外は秋風、吹くものの閉め切った部屋の中は暑い。
小さな上着を取るとノースリーブのワンピース姿になる。
「何かお飲みになりますか? と言っても缶ビールしかありませんが」
「せっかくだから頂くわ」
小さな冷蔵庫から2本のビールを取りだし、グラス片手に部屋テーブルに置いたので、
テーブルのそばに座ると冷たいグラスを手渡ししてくれた。
少し歩いて来たので酔いは冷め、部屋の暑さに一気に飲み干した。
「大丈夫ですか?また酔っぱらわないでください」
「もうここまで来たら大丈夫。 どうせ酔っぱらったら私を放り出して寝ちゃうんでしょう」
少し意地悪を言ってみたくなった。
「いや、そんな時はしない。 あなたを寝かして私が出て行きます」
やっぱり相手の方が一枚上手で、悔しかった。
なんとなく立ち上がった。 気持ちの整理がつかない。
男、蒼井は食欲旺盛で、残さず全部たいらげた。
男の豪快な食べっぷりを見ているのは気持ちよかった。
食事そのものは美味しかったが、なんとなく少食になってしまった。
ワインばかり飲んでいたので、少し頭がフラフラしてくる。
それ以降の会話はあたりさわりのない話に内容はあまり覚えていなかった。
食事が終わると席を立つと少しクラッと来た。
大丈夫ですかと腕をつかまれた。 大きな暖かみのある手だった。
よろけた勢いで男の腕にしがみついた。 太くたくましい腕。
心臓の鼓動がドクンとなった。
姿勢を立て直すと「ごめんなさい。 大丈夫です」
「じゃぁ、先に会計を済ませますから、貴女は一度手洗いに行ったほうがいい」
「ごめんなさい。 そうさせてもらうわ」
手洗いを終えるとお会計はすでに済ませ、店の出口で男は待っていた。
丁重に礼を述べた。 男はお気になさらないようにと言ってくれた。
帰り道もゆっくりと歩いてくれる。 夜風がとっても気持ちいい。
暑い夏が終り、これから人恋しくなる季節。
なんとなくこのまま帰りたくなかった。
マンションに着くと「ここでいいですか?」と男は聞いてきた。
「お願いがあるの。 私の部屋がどんな風に見えるか、見てみたいの」
「私の部屋に来たいということですか」
「うん!も~~ぉ・・・ 直接的に言わないでよ」
「あはは、すみません。 でも男一人の部屋に来ると帰れなくなるかもしれませんよ」
「あら、私に興味を持ってくれるの? でも大丈夫、明日もお休みだから」
言ってからとんでもない事を口走ったと、自分で驚いた。
「別に構いませんが、男やもめの何もない殺風景ですよ」
「私の部屋を見に行くのだから、中はどうなっていてもいいわ。
本当に私の部屋を見に行くだけだから・・・」 念を押す自分がおかしい。
男の後をついて行き、部屋に入ると本当に何もなかった。
部屋の真ん中に少し大きめの座敷テーブル。
壁際には万年床と思える布団がしいてあり、小さな洋服掛けがあるだけ。
手荷物を置いて窓際に立つと自分の部屋が見えた。
ただ自分の部屋はカーテンが閉めてあり暗くて何も見えなかった。
「あたしバカよね。 カーテン閉めていたら何も分からないわよね」
外は秋風、吹くものの閉め切った部屋の中は暑い。
小さな上着を取るとノースリーブのワンピース姿になる。
「何かお飲みになりますか? と言っても缶ビールしかありませんが」
「せっかくだから頂くわ」
小さな冷蔵庫から2本のビールを取りだし、グラス片手に部屋テーブルに置いたので、
テーブルのそばに座ると冷たいグラスを手渡ししてくれた。
少し歩いて来たので酔いは冷め、部屋の暑さに一気に飲み干した。
「大丈夫ですか?また酔っぱらわないでください」
「もうここまで来たら大丈夫。 どうせ酔っぱらったら私を放り出して寝ちゃうんでしょう」
少し意地悪を言ってみたくなった。
「いや、そんな時はしない。 あなたを寝かして私が出て行きます」
やっぱり相手の方が一枚上手で、悔しかった。
なんとなく立ち上がった。 気持ちの整理がつかない。