2010-08-17(Tue)
巡査長 美咲 ~淫妖水魔編~ ≪第七話≫
奥の左部屋、角部屋にあたるドアをノックした。
中から30才くらいと思しき女性が現れた。
「すいません、警察のものですが、お隣についてお伺いしたいことがありまして」
「さっきから騒々しいのよね。 正直、あまり隣とはお付き合いがないから知らないフリしてたのに。 で、なに?」
「あっ、美咲君、ここは女性だから君に任す。 僕は反対の部屋に行ってくる」
「あら、向こうの部屋は空いてるわよ。 誰もいないと思うわよ」
「あっ、そうなんですか、それは失礼しました」
「じゃあ、美咲さん、お願い」山科は美咲に任せた。
「あっ、すいません、美咲と申します。 あの~、お隣の人ってどんな人でした?」
「どんな人って言われてもねぇ…、付き合いもなかったし。 でも顔を合わせば挨拶くらいはしますよ。
見かけは明るいかわいらしいお嬢さんだから」
「昨夜から今日にかけて何か変な物音や声がしませんでした?」
「ここのアパートはね、壁薄いから何でも良く聞こえるの。
笑い声やテレビの音も良く聞こえるし、こっちもテレビつけて隣の音が聞こえないようにしてるの」
「なにか争ったような物音はしませんでした?」
「そんな音がすれば、アパート全体に響くわよ。 そんな音はしなかったわ」
「じゃぁ、それ以外になにか変な音や、声は聞こえませんでした?」
「変な音はあんまりしないけど、変な声はしょちゅうなのよ、彼女・・・」
「えっ! 変な声ってどんな声ですか?」
美咲は“変な声”という言葉に飛びついた。
美咲の飛びついたような目にその女性はたじろぎ、
「いや…その…、変な声よ、変な声。 どういったら良いのか、なんかこう、切羽詰ったというか…」
ますます美咲は真剣になった。
「えっ! 切羽詰った! “いやぁ~、誰か助けて~”っていう様な言葉ですか?」
「ん~~、“助けて”っていう言葉はあったかなぁ?」
「助けてっていう叫び声ですよね。 他にはどんな言葉を聞かれました?
切羽詰っているんですよね、たとえば苦しいだとか死にそぉ~だとか・・・」
美咲はメモを必死に取りながら、なおも訊ねる。
「苦しいというのはないわ、ただ“死にそぉ~”っていう言葉は何回か聞いたことあるわ。
お隣さん、激しいから・・・」
美咲はメモを取る手が止まった 「???」
「でも“助けて~”や、“死ぬ”って言葉を聞かれたのですね。 誰かに襲われて首なんかを絞められるように」
「確かに襲われているんでしょうね。 でも刑事さん。 ちょっと意味が違うんじゃないかしら」
そういうとその女性は山科の顔を見た。
美咲も見ると山科はクスクス笑っている。
「何がおかしいんですか! 真面目に聞いているんです。 何か間違っていますか!」
中から30才くらいと思しき女性が現れた。
「すいません、警察のものですが、お隣についてお伺いしたいことがありまして」
「さっきから騒々しいのよね。 正直、あまり隣とはお付き合いがないから知らないフリしてたのに。 で、なに?」
「あっ、美咲君、ここは女性だから君に任す。 僕は反対の部屋に行ってくる」
「あら、向こうの部屋は空いてるわよ。 誰もいないと思うわよ」
「あっ、そうなんですか、それは失礼しました」
「じゃあ、美咲さん、お願い」山科は美咲に任せた。
「あっ、すいません、美咲と申します。 あの~、お隣の人ってどんな人でした?」
「どんな人って言われてもねぇ…、付き合いもなかったし。 でも顔を合わせば挨拶くらいはしますよ。
見かけは明るいかわいらしいお嬢さんだから」
「昨夜から今日にかけて何か変な物音や声がしませんでした?」
「ここのアパートはね、壁薄いから何でも良く聞こえるの。
笑い声やテレビの音も良く聞こえるし、こっちもテレビつけて隣の音が聞こえないようにしてるの」
「なにか争ったような物音はしませんでした?」
「そんな音がすれば、アパート全体に響くわよ。 そんな音はしなかったわ」
「じゃぁ、それ以外になにか変な音や、声は聞こえませんでした?」
「変な音はあんまりしないけど、変な声はしょちゅうなのよ、彼女・・・」
「えっ! 変な声ってどんな声ですか?」
美咲は“変な声”という言葉に飛びついた。
美咲の飛びついたような目にその女性はたじろぎ、
「いや…その…、変な声よ、変な声。 どういったら良いのか、なんかこう、切羽詰ったというか…」
ますます美咲は真剣になった。
「えっ! 切羽詰った! “いやぁ~、誰か助けて~”っていう様な言葉ですか?」
「ん~~、“助けて”っていう言葉はあったかなぁ?」
「助けてっていう叫び声ですよね。 他にはどんな言葉を聞かれました?
切羽詰っているんですよね、たとえば苦しいだとか死にそぉ~だとか・・・」
美咲はメモを必死に取りながら、なおも訊ねる。
「苦しいというのはないわ、ただ“死にそぉ~”っていう言葉は何回か聞いたことあるわ。
お隣さん、激しいから・・・」
美咲はメモを取る手が止まった 「???」
「でも“助けて~”や、“死ぬ”って言葉を聞かれたのですね。 誰かに襲われて首なんかを絞められるように」
「確かに襲われているんでしょうね。 でも刑事さん。 ちょっと意味が違うんじゃないかしら」
そういうとその女性は山科の顔を見た。
美咲も見ると山科はクスクス笑っている。
「何がおかしいんですか! 真面目に聞いているんです。 何か間違っていますか!」