2010-09-18(Sat)
巡査長 美咲 ~淫妖水魔編~ ≪第二十一話≫
「あ~、お静かに。 で、最後の解剖結果です。
まず外傷ですが、頭部の損傷は見られず、傷や絞められた痕跡は見られませんでした。
内部ですが薬物・異物もみられません。
胃もきれいな物でした。
ただ…、死に至る直前ですが、すべてのガイシャにおいて筋肉の硬直が見られます。
一般的には何かに力を入れているか、痙攣を起こしているかどちらかです。
硬直は手先から足先まで見られ、全身すべてを使って何かに力を入れているとは考えられません。
となると全身痙攣です。
もうひとつ考えられるのは急性脱水による筋肉硬化ですが、
これは科捜研及び科警研にもデータはありませんので、現在マウスを使って検証中です。
もうひとつ気になるのは顔面筋肉における弛緩です。
体の硬直と比べ顔面における弛緩は奇妙です。
これはあくまで私の私見ですが、死亡直前・・・
あ~、会議の場では発言しにくいのですが、特に女性の方には耳を塞いで頂ければ幸いです。
死亡直前、該当の女性は性的交渉に類似した行為をもって性的興奮から全身を喜びに震わせ、
その刺激によって顔面を弛緩させたように思います。
あ~、付け加えますが女性、2人目のガイシャ以外には膣内に男性の体液の痕跡はありません。
念を押しますが今のところ確証はありませんので、ご注意下さい。
あくまで私見です。
解剖結果の最後、脱水症状についてです。
これを調べるのは血液の分布を見るしかありませんが、特徴ははっきりしておりました。
脱水症状の特徴である赤血球の減少により、その一方白血球、血小板の比率が高くなり、
血液はドロドロになりその場合、つまり血管内で凝固していました。
そのおかげをもって血液の分布を見るのは非常に楽でした。
結論から申し上げますが、頭部、手先、足先等の胴体部から離れたところには血液の存在は薄く、
胴体内部に血液は集中しており、特に鼠蹊部(そけいぶ)を中心に集まっているのが顕著に見られました」
「そけいぶ? そけいぶって何処よ?」
「恥ずかしいから、あまりでかい声で聞くな。“おそそ”近辺のことだよ」
「“おそそ”ってなに?」
「おまたの中心部!」
美咲は聞いたものの、赤面して机に顔を隠した。
「ホントにもぉ~、なぁ~にも知らないんだから」
「以上の観点から、なにかの外的要因によって体内の水分を鼠蹊部から排出させ、
それゆえ脱水症状になり死因したと考えられます。
しかし残念ながら現在の生命科学ではありえない現象なので解明はできません。
念のため付け加えておきますが、膀胱内には適量と思われる尿は存在していました。
こちらには影響なかったと考えられます。 以上で報告を終わります」
「それでは質問の時間に移らせていただきます。 何かご質問のある方はどうぞ」
「あっ、すみません。 基本的な質問ですが、これは事故死ですか? 殺人事件ですか?」
「現在のところ、不明です。
事故死の線が強いとは思われますが、何か人災的なところがあるかもしれません。
物的証拠がない以上、他殺の線は薄いと思われます」
「で、私たちは何を? 本庁の方がお見えなので更に事件は発展するのでしょうか」
「今のところ皆さんに指示はありません。
現在の科学をもってしても室内において短時間による急性脱水症状というのは考えづらく、
様子を見守るしかありません。
ただ今後頻繁に発生すればマスコミ等も嗅ぎつけますので、なにがしろの手を打たざるを得ないと思われます。
そのときは合同捜査班の設置を考えております。
現在のところ事件発生の港署・蒲田署・そして品川署管内で発生しておりますので、
各署2~3名の捜査員を派遣してもらうよう考えております」
まず外傷ですが、頭部の損傷は見られず、傷や絞められた痕跡は見られませんでした。
内部ですが薬物・異物もみられません。
胃もきれいな物でした。
ただ…、死に至る直前ですが、すべてのガイシャにおいて筋肉の硬直が見られます。
一般的には何かに力を入れているか、痙攣を起こしているかどちらかです。
硬直は手先から足先まで見られ、全身すべてを使って何かに力を入れているとは考えられません。
となると全身痙攣です。
もうひとつ考えられるのは急性脱水による筋肉硬化ですが、
これは科捜研及び科警研にもデータはありませんので、現在マウスを使って検証中です。
もうひとつ気になるのは顔面筋肉における弛緩です。
体の硬直と比べ顔面における弛緩は奇妙です。
これはあくまで私の私見ですが、死亡直前・・・
あ~、会議の場では発言しにくいのですが、特に女性の方には耳を塞いで頂ければ幸いです。
死亡直前、該当の女性は性的交渉に類似した行為をもって性的興奮から全身を喜びに震わせ、
その刺激によって顔面を弛緩させたように思います。
あ~、付け加えますが女性、2人目のガイシャ以外には膣内に男性の体液の痕跡はありません。
念を押しますが今のところ確証はありませんので、ご注意下さい。
あくまで私見です。
解剖結果の最後、脱水症状についてです。
これを調べるのは血液の分布を見るしかありませんが、特徴ははっきりしておりました。
脱水症状の特徴である赤血球の減少により、その一方白血球、血小板の比率が高くなり、
血液はドロドロになりその場合、つまり血管内で凝固していました。
そのおかげをもって血液の分布を見るのは非常に楽でした。
結論から申し上げますが、頭部、手先、足先等の胴体部から離れたところには血液の存在は薄く、
胴体内部に血液は集中しており、特に鼠蹊部(そけいぶ)を中心に集まっているのが顕著に見られました」
「そけいぶ? そけいぶって何処よ?」
「恥ずかしいから、あまりでかい声で聞くな。“おそそ”近辺のことだよ」
「“おそそ”ってなに?」
「おまたの中心部!」
美咲は聞いたものの、赤面して机に顔を隠した。
「ホントにもぉ~、なぁ~にも知らないんだから」
「以上の観点から、なにかの外的要因によって体内の水分を鼠蹊部から排出させ、
それゆえ脱水症状になり死因したと考えられます。
しかし残念ながら現在の生命科学ではありえない現象なので解明はできません。
念のため付け加えておきますが、膀胱内には適量と思われる尿は存在していました。
こちらには影響なかったと考えられます。 以上で報告を終わります」
「それでは質問の時間に移らせていただきます。 何かご質問のある方はどうぞ」
「あっ、すみません。 基本的な質問ですが、これは事故死ですか? 殺人事件ですか?」
「現在のところ、不明です。
事故死の線が強いとは思われますが、何か人災的なところがあるかもしれません。
物的証拠がない以上、他殺の線は薄いと思われます」
「で、私たちは何を? 本庁の方がお見えなので更に事件は発展するのでしょうか」
「今のところ皆さんに指示はありません。
現在の科学をもってしても室内において短時間による急性脱水症状というのは考えづらく、
様子を見守るしかありません。
ただ今後頻繁に発生すればマスコミ等も嗅ぎつけますので、なにがしろの手を打たざるを得ないと思われます。
そのときは合同捜査班の設置を考えております。
現在のところ事件発生の港署・蒲田署・そして品川署管内で発生しておりますので、
各署2~3名の捜査員を派遣してもらうよう考えております」