2011-12-10(Sat)
あおりんご 21
いきなり親父の登場に緊張の極み、
精神的に壊れてしまいそうになりながらも元気に「ごめんください。 お邪魔します」挨拶しました。
お父さんはいきなりの声掛けにびっくりしたのか、新聞をバサッと落としました。
「ああ、こんにちは。 いらっしゃい」
「失礼します」
黒木さんの招きでリビングのソファーを勧められたのですが、その椅子の遠いとこと、遠いこと。
カチンコチンのロボットのような動きで歩くと、その一部始終をお父さんが見ていました。
勧められたイスに座ると、応接セットみたいなところにテーブルを挟んでお父さんとボク。
次の動作をどうしたら良いかと悩んでいると、
無常にも黒木さんは「ちょっと待っててね」と言うと別室へ出て行ってしまいました。
リビングに残されたボクと黒木さんのお父さん、男二人っきり。
なにか喋らないと・・・思っていると
お父さんはそれを遮るかのように落とした新聞を拾い上げまた読みだしたのです。
相手が新聞を読みだしたので話しかけてはいけない・・・
どうしたものかと思案してしまいました。
辺りを見回すとリビングは広いです。
20畳以上はありそうな部屋に大きなテレビ、壁にはイミテーションだと思いますが
レンガ造りの暖炉があって、壁にはあっちこっちに絵画が掛けてあります。
本棚もあって遠目で良くわからないのですが、なにやら分厚そうな本が。
いつまでもキョロキョロしているとそれもまずいので、
ひと通り周りの様子を見渡すと視線をお父さんに向けました。
相変わらず新聞を広げたまま顔は見えません。
相手が新聞を読んでんだから邪魔しちゃ悪いと思い黙っていました。
男二人、沈黙の部屋・・・気まずい空気。
しばらくするとドアが開く音が聞こえました。
その方向へ向くと黒木さんのお母さんです。
椅子から跳ねるように立ち上がると 「こんにちは、おじゃまします」
「あら、こんにちは、お久しぶりね。 この間制服を合わせに行った時いらいね」
「あっ、すみません、あの時ちゃんとご挨拶できなくて」
「そんなことないわよ、お互い忙しかったものね」
そういうと持ってきたお盆をテーブルの上に乗せると人数分の紅茶を配りました。
「あらっ、いやだお父さん。 新聞が逆さまよ」
「あっ、そっか、そうだよな」
お父さんはバツが悪そうに新聞をひっくり返しました。
その様子を見てお母さんも黒木さんもクスクス笑っています。
「あなた、紅茶が入りましたわよ」
「あっ、うっうん」
「あなた、唯がケーキ買ってきたの。 一緒に召し上がる?」
お母さんの後から入ってきた黒木さんはケーキを配ってくれました。
「あっ、うん」
「はい、青井さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
「甘いものはお好き?」
「あっ、はい。 大好きです」
「そう、それはよかった」
黒木さんはボクの隣に座ると一緒に食べ始めました。
内心、ケーキと格闘です。
上品に食べないといけないと思い懸命に戦っていました。
正直、周りの様子を伺う余裕などぜんぜんありません。
お母さんは場を盛り上げようと「唯、おいしいね、ここのケーキ。 どこで買ってきたの?」
そんな会話をしていますが、あまり耳に入ってこないです。
精神的に壊れてしまいそうになりながらも元気に「ごめんください。 お邪魔します」挨拶しました。
お父さんはいきなりの声掛けにびっくりしたのか、新聞をバサッと落としました。
「ああ、こんにちは。 いらっしゃい」
「失礼します」
黒木さんの招きでリビングのソファーを勧められたのですが、その椅子の遠いとこと、遠いこと。
カチンコチンのロボットのような動きで歩くと、その一部始終をお父さんが見ていました。
勧められたイスに座ると、応接セットみたいなところにテーブルを挟んでお父さんとボク。
次の動作をどうしたら良いかと悩んでいると、
無常にも黒木さんは「ちょっと待っててね」と言うと別室へ出て行ってしまいました。
リビングに残されたボクと黒木さんのお父さん、男二人っきり。
なにか喋らないと・・・思っていると
お父さんはそれを遮るかのように落とした新聞を拾い上げまた読みだしたのです。
相手が新聞を読みだしたので話しかけてはいけない・・・
どうしたものかと思案してしまいました。
辺りを見回すとリビングは広いです。
20畳以上はありそうな部屋に大きなテレビ、壁にはイミテーションだと思いますが
レンガ造りの暖炉があって、壁にはあっちこっちに絵画が掛けてあります。
本棚もあって遠目で良くわからないのですが、なにやら分厚そうな本が。
いつまでもキョロキョロしているとそれもまずいので、
ひと通り周りの様子を見渡すと視線をお父さんに向けました。
相変わらず新聞を広げたまま顔は見えません。
相手が新聞を読んでんだから邪魔しちゃ悪いと思い黙っていました。
男二人、沈黙の部屋・・・気まずい空気。
しばらくするとドアが開く音が聞こえました。
その方向へ向くと黒木さんのお母さんです。
椅子から跳ねるように立ち上がると 「こんにちは、おじゃまします」
「あら、こんにちは、お久しぶりね。 この間制服を合わせに行った時いらいね」
「あっ、すみません、あの時ちゃんとご挨拶できなくて」
「そんなことないわよ、お互い忙しかったものね」
そういうと持ってきたお盆をテーブルの上に乗せると人数分の紅茶を配りました。
「あらっ、いやだお父さん。 新聞が逆さまよ」
「あっ、そっか、そうだよな」
お父さんはバツが悪そうに新聞をひっくり返しました。
その様子を見てお母さんも黒木さんもクスクス笑っています。
「あなた、紅茶が入りましたわよ」
「あっ、うっうん」
「あなた、唯がケーキ買ってきたの。 一緒に召し上がる?」
お母さんの後から入ってきた黒木さんはケーキを配ってくれました。
「あっ、うん」
「はい、青井さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
「甘いものはお好き?」
「あっ、はい。 大好きです」
「そう、それはよかった」
黒木さんはボクの隣に座ると一緒に食べ始めました。
内心、ケーキと格闘です。
上品に食べないといけないと思い懸命に戦っていました。
正直、周りの様子を伺う余裕などぜんぜんありません。
お母さんは場を盛り上げようと「唯、おいしいね、ここのケーキ。 どこで買ってきたの?」
そんな会話をしていますが、あまり耳に入ってこないです。