2012-01-24(Tue)
あおりんご 37
勇気を出して声にしてみました。
当然、彼は振り返ります。
でもその表情はキョトンとした雰囲気だったので、もう一度言ってみました。
「あおいくんでしょ」
彼は黙ったまま私をみつめています。
暗い夜だったけど、周りは街灯や商店街から溢れんばかりの光で見えないはずはないのです。
それにしても彼は動かないまま私を見ていました。
「ああっ~、わかんないんだ」
しょうがないな、彼の近くで自転車を止め、前かごにあるカバンからメガネを取り出し顔にかけました。
メガネをする時は自慢の長い黒髪を思いっきり、バサッという音が聞こえてきそうなくらい大げさにかき揚げ、
思いっきり女っぽく、色気ある行動を取るようにしたのです。
このポーズ、絶対印象に残るはず。
「ええっ? 黒木さん?」
「やっぱり、わかんなかったんだ」
「ご、ごめん」
「いいんですよ。 いつもメガネかけけてるから、わかんなかったんでしょ」
「うっ、うん」
「練習熱心ね」
「うん・・・、まぁ、大会も近いし」
「そう。 青井君の家は近所?」
「うん、そこの角」
「へぇ~、青井君ち、お酒屋さんなんだ」
「うん、そう」
「委員長は?」 委員長と呼ばれてちょっとムッ!
「あっ、あたしはピアノの帰り」
「そうなん、ピアノの帰り」
「今日はいつもと帰り道じゃなくって、ちょっと駅前に用事があったから、こっちに来たの」
「そうなんだ」
「青井君は毎日こうやって練習してるの」
「うっ、うん。 まぁ」
「いつもこの時間?」
「まぁだいたい。 もうそろそろ終わろうかと思って」
「私も今日は遅くなったんだ。 その遅くなったついでのより道」
エヘッとした表情に舌をペロッと出しました。
「あたし、毎週火曜がピアノの日なんだ。 じゃぁまたね」
「うっ、うん。 じゃぁまた」
ワクワク♪
第一目標が達成できました。
彼の練習スケージュールを聞き出すのと、あたしのピアノの練習日を教えるのが狙い。
これで彼は毎週火曜の夜は練習してくれるだろうか?
わからないけど、そうでなかったら、それは、その時。
とにかく今日のところは軽く挨拶に止めようと最初っから考えていたのです。
自転車にまたがると、
「これからは委員長じゃなくって、名前で呼んでね」
エヘッ、別れ際の決めゼリフ、ハートはつかめたかな?
次の日は風紀当番、朝から校門の前に立っていました。
しきたりとして誰彼なし、みんなに「おはようございます」と声掛けをします。
特に先生の場合は「○○先生、おはようございます」 ちゃんと先生の名前を言うのが習わしでした。
そのうち、大勢の生徒に紛れてあおい君の姿も見えたのです。
えっ? なぜ、こんな時間に? あっ! そっか。
テストが近いから朝練ないんだ。
少し大きめな声で彼に向かって 「おはよう!」
クラスの当番風紀委員たちが一斉に私の方に振り返ります。
ふつうちゃんと 『おはようございます』 と言わなければならないのに、
彼に向かってだけなれなれしく 『おはよう!』 と言ったもんだから、みんながビックリしたようでした。
彼もちゃんと 『おはよう』 と返してくれたのはちょっと嬉しかった。
ああ、今日一日、何かいいことがありそうな予感。
当然、彼は振り返ります。
でもその表情はキョトンとした雰囲気だったので、もう一度言ってみました。
「あおいくんでしょ」
彼は黙ったまま私をみつめています。
暗い夜だったけど、周りは街灯や商店街から溢れんばかりの光で見えないはずはないのです。
それにしても彼は動かないまま私を見ていました。
「ああっ~、わかんないんだ」
しょうがないな、彼の近くで自転車を止め、前かごにあるカバンからメガネを取り出し顔にかけました。
メガネをする時は自慢の長い黒髪を思いっきり、バサッという音が聞こえてきそうなくらい大げさにかき揚げ、
思いっきり女っぽく、色気ある行動を取るようにしたのです。
このポーズ、絶対印象に残るはず。
「ええっ? 黒木さん?」
「やっぱり、わかんなかったんだ」
「ご、ごめん」
「いいんですよ。 いつもメガネかけけてるから、わかんなかったんでしょ」
「うっ、うん」
「練習熱心ね」
「うん・・・、まぁ、大会も近いし」
「そう。 青井君の家は近所?」
「うん、そこの角」
「へぇ~、青井君ち、お酒屋さんなんだ」
「うん、そう」
「委員長は?」 委員長と呼ばれてちょっとムッ!
「あっ、あたしはピアノの帰り」
「そうなん、ピアノの帰り」
「今日はいつもと帰り道じゃなくって、ちょっと駅前に用事があったから、こっちに来たの」
「そうなんだ」
「青井君は毎日こうやって練習してるの」
「うっ、うん。 まぁ」
「いつもこの時間?」
「まぁだいたい。 もうそろそろ終わろうかと思って」
「私も今日は遅くなったんだ。 その遅くなったついでのより道」
エヘッとした表情に舌をペロッと出しました。
「あたし、毎週火曜がピアノの日なんだ。 じゃぁまたね」
「うっ、うん。 じゃぁまた」
ワクワク♪
第一目標が達成できました。
彼の練習スケージュールを聞き出すのと、あたしのピアノの練習日を教えるのが狙い。
これで彼は毎週火曜の夜は練習してくれるだろうか?
わからないけど、そうでなかったら、それは、その時。
とにかく今日のところは軽く挨拶に止めようと最初っから考えていたのです。
自転車にまたがると、
「これからは委員長じゃなくって、名前で呼んでね」
エヘッ、別れ際の決めゼリフ、ハートはつかめたかな?
次の日は風紀当番、朝から校門の前に立っていました。
しきたりとして誰彼なし、みんなに「おはようございます」と声掛けをします。
特に先生の場合は「○○先生、おはようございます」 ちゃんと先生の名前を言うのが習わしでした。
そのうち、大勢の生徒に紛れてあおい君の姿も見えたのです。
えっ? なぜ、こんな時間に? あっ! そっか。
テストが近いから朝練ないんだ。
少し大きめな声で彼に向かって 「おはよう!」
クラスの当番風紀委員たちが一斉に私の方に振り返ります。
ふつうちゃんと 『おはようございます』 と言わなければならないのに、
彼に向かってだけなれなれしく 『おはよう!』 と言ったもんだから、みんながビックリしたようでした。
彼もちゃんと 『おはよう』 と返してくれたのはちょっと嬉しかった。
ああ、今日一日、何かいいことがありそうな予感。