2012-10-15(Mon)
下田の海 7話
料理が少しずつ運ばれてきました。
お父さんが奮発してくれたみたいで、かなり豪勢です。
「合宿のときなんか、もっと面白くてさー。 寝てるこいつのケツに赤マジックで落書きしたんだ」
「ありゃぁ、ひでぇー話!」
「そんで、こいつ、次の日の風呂に入るまで気がつかなくって・・・、みんなで大笑い!」
「で、結局よー、あれはいったい誰がやったんだ?」
「坂本だよ、あっ、しゃべっちゃった。 云うなって言ってたから」
「わかった! お前から聞いたとは言わないけど、そのうちなんか仕返ししてやる!」
料理は新鮮なお魚が中心、とっても美味で、高校生の前では言えないけど日本酒が合いそうな料理でした。
特においしかったのは、手の込んだ小さな土鍋の料理が、出汁が効いて最高においしいかったです。
あわびは・・・ん~~、正直、そんなにおいしいとは思えませんでした。
食事中も会話が弾みました。
年上にもかかわらず、まるで友達と話をしているようで、楽しい時間を持てました。
良い意味で田舎ぽくって素朴なんだけど、明るくって爽やかな2人。
あたしがもし高校生だったら憧れちゃうかもしれません。
「ネェ、君たち。彼女はいるの?」ストレートに聞いてみました。
「そんなのいるわけないって」
「うっそ~、だって君たち、かっこいいし、もてるでしょ」
「この顔でー? それはないない。 って、それでもまぁ、なんと言うか、女子から手紙はもらったことあるけど。
そういや和樹、おまえも山崎紗江どうしたんだよ。 あれから進展ねえのか?」
「えっ、なになに、山崎紗江さん?ガールフレンド?」
「そんなんじゃないって。 手紙もらって一度話しただけ。
だってこっちだって野球あるし、練習のあとくたくたになって家に帰れば飯食ってバタンキュー。
とてもじゃないけど話している余裕って、ないない」
「えっ、夏の大会、終わったんでしょ」
「それまでの話。 大会、終わったら夏休みだし合ってもないから」
「そっかー、じゃぁ2学期が楽しみだね」
「でも・・・お姉さんみたいな人がいいな」
「アラ?なま言っちゃって」
「そういえばお姉さんって、なんて名前?」
「ん? かおり」
「かおりさんかぁ~、 いい名前だなぁ~。 やさしそうでふんわりするような名前」
「やさしいかどうかわかんないけど、ふんわりって言うのは当たってるかもね。 ボォーっとしてるから」
「あははっ、そっかなぁ、そんな風に思わないけど」
「いつもそうなの。
みんなに意見言われてボォーっとしてるからみんなに押されて、
終いには嫌な事でもなんでもさせられるタイプかもしれない。
押しに弱いだろうな」
「押しに弱いタイプかぁ。 いいこと聞いちゃった」
「なによ! なにか言いたい事、あるわけ?」
「ん? ないよ。 別に」
「あっ! その笑い! 何か企んでる!」
「ほんとに何もないよ。 なぁ!」
「そういえばこいつの方が、もっともてるんだよ」
「えっ? なになに? 聞かせてよぉ」
「こいつったらナマジ学園祭でピアノ弾いたものだから、女子から手紙、来まくり」
「へぇー、ピアノ、弾けんだ!」
「そんでさぁー、こいつったら、手紙来た子と一瞬、付き合ったんだよな」
「えっ? 野球が忙しくなかったの?」
「いやまだ高2だったからレギュラーでもなかったし、瞬間な!」
「で、あの面白い話、してやれよ」
「やだよ、かっこ悪いし」
「なになに、聞かせてよ」
「なら、俺が言っちゃる。 こいつったらその女の子と付き合いだしてキスしようとしたんだよ。
そんで口と口じゃなくって、いきなり歯がぶつかったんだよな」
「へぇー、女の子とキスした事があるんだ。 で、その後、どうなったの」
「なんとなく気まずくなって、それっきり」
「ん? 女の子も何も言ってこなかったの?」
「うん、別に。 何も・・・」
「そっかぁ、じゃぁ、どんな味がした?」
「正直、緊張しててあまりよく覚えてねえ。
覚えてる事ったら、抱きしめたときその子の体ってやわらかくって、温かかったことぐらいしか覚えてない」
「そっかぁ、青春だなぁ、いいね、なんとなく。 そうなんだ・・・。 でさ、君はピアノ、弾けんだ?」
「上手くないけどね。 親が子供のときから教え込まれて、野球をやる条件にピアノも押し付けられたから」
「そっかー、聞いてみたいな♪」
「だめだよ。 恥ずかしいし」
「だめ?」
「聞かせてやんなよ。 どうせへタッピだから恥ずかしがる事ないって・・・」
「あっ、ちょっとゴメン、手洗い行ってくる」
「あっ、そっちの右側の奥だから」
「ありがとう」
お父さんが奮発してくれたみたいで、かなり豪勢です。
「合宿のときなんか、もっと面白くてさー。 寝てるこいつのケツに赤マジックで落書きしたんだ」
「ありゃぁ、ひでぇー話!」
「そんで、こいつ、次の日の風呂に入るまで気がつかなくって・・・、みんなで大笑い!」
「で、結局よー、あれはいったい誰がやったんだ?」
「坂本だよ、あっ、しゃべっちゃった。 云うなって言ってたから」
「わかった! お前から聞いたとは言わないけど、そのうちなんか仕返ししてやる!」
料理は新鮮なお魚が中心、とっても美味で、高校生の前では言えないけど日本酒が合いそうな料理でした。
特においしかったのは、手の込んだ小さな土鍋の料理が、出汁が効いて最高においしいかったです。
あわびは・・・ん~~、正直、そんなにおいしいとは思えませんでした。
食事中も会話が弾みました。
年上にもかかわらず、まるで友達と話をしているようで、楽しい時間を持てました。
良い意味で田舎ぽくって素朴なんだけど、明るくって爽やかな2人。
あたしがもし高校生だったら憧れちゃうかもしれません。
「ネェ、君たち。彼女はいるの?」ストレートに聞いてみました。
「そんなのいるわけないって」
「うっそ~、だって君たち、かっこいいし、もてるでしょ」
「この顔でー? それはないない。 って、それでもまぁ、なんと言うか、女子から手紙はもらったことあるけど。
そういや和樹、おまえも山崎紗江どうしたんだよ。 あれから進展ねえのか?」
「えっ、なになに、山崎紗江さん?ガールフレンド?」
「そんなんじゃないって。 手紙もらって一度話しただけ。
だってこっちだって野球あるし、練習のあとくたくたになって家に帰れば飯食ってバタンキュー。
とてもじゃないけど話している余裕って、ないない」
「えっ、夏の大会、終わったんでしょ」
「それまでの話。 大会、終わったら夏休みだし合ってもないから」
「そっかー、じゃぁ2学期が楽しみだね」
「でも・・・お姉さんみたいな人がいいな」
「アラ?なま言っちゃって」
「そういえばお姉さんって、なんて名前?」
「ん? かおり」
「かおりさんかぁ~、 いい名前だなぁ~。 やさしそうでふんわりするような名前」
「やさしいかどうかわかんないけど、ふんわりって言うのは当たってるかもね。 ボォーっとしてるから」
「あははっ、そっかなぁ、そんな風に思わないけど」
「いつもそうなの。
みんなに意見言われてボォーっとしてるからみんなに押されて、
終いには嫌な事でもなんでもさせられるタイプかもしれない。
押しに弱いだろうな」
「押しに弱いタイプかぁ。 いいこと聞いちゃった」
「なによ! なにか言いたい事、あるわけ?」
「ん? ないよ。 別に」
「あっ! その笑い! 何か企んでる!」
「ほんとに何もないよ。 なぁ!」
「そういえばこいつの方が、もっともてるんだよ」
「えっ? なになに? 聞かせてよぉ」
「こいつったらナマジ学園祭でピアノ弾いたものだから、女子から手紙、来まくり」
「へぇー、ピアノ、弾けんだ!」
「そんでさぁー、こいつったら、手紙来た子と一瞬、付き合ったんだよな」
「えっ? 野球が忙しくなかったの?」
「いやまだ高2だったからレギュラーでもなかったし、瞬間な!」
「で、あの面白い話、してやれよ」
「やだよ、かっこ悪いし」
「なになに、聞かせてよ」
「なら、俺が言っちゃる。 こいつったらその女の子と付き合いだしてキスしようとしたんだよ。
そんで口と口じゃなくって、いきなり歯がぶつかったんだよな」
「へぇー、女の子とキスした事があるんだ。 で、その後、どうなったの」
「なんとなく気まずくなって、それっきり」
「ん? 女の子も何も言ってこなかったの?」
「うん、別に。 何も・・・」
「そっかぁ、じゃぁ、どんな味がした?」
「正直、緊張しててあまりよく覚えてねえ。
覚えてる事ったら、抱きしめたときその子の体ってやわらかくって、温かかったことぐらいしか覚えてない」
「そっかぁ、青春だなぁ、いいね、なんとなく。 そうなんだ・・・。 でさ、君はピアノ、弾けんだ?」
「上手くないけどね。 親が子供のときから教え込まれて、野球をやる条件にピアノも押し付けられたから」
「そっかー、聞いてみたいな♪」
「だめだよ。 恥ずかしいし」
「だめ?」
「聞かせてやんなよ。 どうせへタッピだから恥ずかしがる事ないって・・・」
「あっ、ちょっとゴメン、手洗い行ってくる」
「あっ、そっちの右側の奥だから」
「ありがとう」