2012-11-07(Wed)
下田の海 17話
ねぇ、貴志君、本当に迷惑じゃないの」
「ああ、母ちゃんがあそこまでいうんだからいいんじゃないか。 僕もその方がうれしいし」
「ほんとうに、いいのかなぁ?」
「いいって、いいって。 じゃ、ちょっくら部屋の掃除、始めっから。 和樹、手伝え!」
3人はそろって部屋を出ると奥のほうへ続く廊下を進むと、
渡り廊下があって離れのお部屋がありました。
「ここはオジイ、オバア用に作ったんだけど、結局使わずじまい。
それからは客室用として使ってるところなんだ」
「おじいさん、おばあさんって」
「もう6~7年くらい前に亡くなったんだけど、離れてる部屋はいやだって言うから、結局建てただけ」
「そうなの」
「ここなら生活できるよ。 小さいけどキッチンやトイレ、お風呂もあるし。
でもお湯が出ないからお風呂は使えないんだ」
そこはまるでワンルームといったお部屋でした。
普段は使ってないらしく空気はよどんでいたので窓を開け、持ってきた掃除機をかけました。
小さいながらも縁側があり、雨戸を開けると海が見える景色の良いところでした。
「贅沢だわ~。 こんなところ」
「気に入った?」
「うん! 気に入った」
「じゃぁ、住めば」
「あはは、それは無理。 私にも家あるし」
「そりゃ、そうだよね。 明日は帰っちゃうんだ」
「そうね。 明日は帰るつもり」
「そっか、さみしいな」
「何言ってんの? さあ、掃除、掃除」
部屋は大きくないし、散らかってもないので掃除は簡単に終わりました。
貴志君と和樹君が布団を取ってくるというので一緒に行き、
私は車から荷物を取り出し、
離れの縁側に向かうと二人とももう戻ってきていたので「しく?」って聞くから、
「まだ布団を敷くのは早いわ。 隅に置いといて」
布団を部屋の隅に片付けると、その横にかばんを置きました。
私が縁側に座ると二人ともついてきました。
「いいところね」
「かおりさんは都会の住んでるんだよね」
「今はそう。 でも生まれはここよりもっと田舎よ。
私の生まれたところは本当に山と川しかないところだったの。
だから海があるってうらやましいなって思っちゃう」
「へ~、そんなとこ行ったことないや」
「あはは、何にもないところだから行く必要はないでしょうね」
「でも海もいいかもしんないけど、台風のときは怖いよ」
「あっ、そうか。 そういうこともあるんだ。 こっちにはこっちの事情があるんだ」
「でも普段はいいよ。 いつでも泳げるし」
「そうだね。 私のところの川なんて水が冷たくって泳げやしないわよ」
「林間だもんな。 でもそういうところも行ってみたいな」
「そうね、働き出したら彼女とキャンプに行くのもいいかもね」
「僕・・・かおりさんと行きたい」
「あはっ! なに“ナマ”言ってんの? 私よりもっといい人がいるわ。 がんばんなさい」
私、もう26 この子達は高3だから18 八つも違う。
もう楽しかった高校生・・・、少し遠くなっちゃったかなぁ。
「ああ、母ちゃんがあそこまでいうんだからいいんじゃないか。 僕もその方がうれしいし」
「ほんとうに、いいのかなぁ?」
「いいって、いいって。 じゃ、ちょっくら部屋の掃除、始めっから。 和樹、手伝え!」
3人はそろって部屋を出ると奥のほうへ続く廊下を進むと、
渡り廊下があって離れのお部屋がありました。
「ここはオジイ、オバア用に作ったんだけど、結局使わずじまい。
それからは客室用として使ってるところなんだ」
「おじいさん、おばあさんって」
「もう6~7年くらい前に亡くなったんだけど、離れてる部屋はいやだって言うから、結局建てただけ」
「そうなの」
「ここなら生活できるよ。 小さいけどキッチンやトイレ、お風呂もあるし。
でもお湯が出ないからお風呂は使えないんだ」
そこはまるでワンルームといったお部屋でした。
普段は使ってないらしく空気はよどんでいたので窓を開け、持ってきた掃除機をかけました。
小さいながらも縁側があり、雨戸を開けると海が見える景色の良いところでした。
「贅沢だわ~。 こんなところ」
「気に入った?」
「うん! 気に入った」
「じゃぁ、住めば」
「あはは、それは無理。 私にも家あるし」
「そりゃ、そうだよね。 明日は帰っちゃうんだ」
「そうね。 明日は帰るつもり」
「そっか、さみしいな」
「何言ってんの? さあ、掃除、掃除」
部屋は大きくないし、散らかってもないので掃除は簡単に終わりました。
貴志君と和樹君が布団を取ってくるというので一緒に行き、
私は車から荷物を取り出し、
離れの縁側に向かうと二人とももう戻ってきていたので「しく?」って聞くから、
「まだ布団を敷くのは早いわ。 隅に置いといて」
布団を部屋の隅に片付けると、その横にかばんを置きました。
私が縁側に座ると二人ともついてきました。
「いいところね」
「かおりさんは都会の住んでるんだよね」
「今はそう。 でも生まれはここよりもっと田舎よ。
私の生まれたところは本当に山と川しかないところだったの。
だから海があるってうらやましいなって思っちゃう」
「へ~、そんなとこ行ったことないや」
「あはは、何にもないところだから行く必要はないでしょうね」
「でも海もいいかもしんないけど、台風のときは怖いよ」
「あっ、そうか。 そういうこともあるんだ。 こっちにはこっちの事情があるんだ」
「でも普段はいいよ。 いつでも泳げるし」
「そうだね。 私のところの川なんて水が冷たくって泳げやしないわよ」
「林間だもんな。 でもそういうところも行ってみたいな」
「そうね、働き出したら彼女とキャンプに行くのもいいかもね」
「僕・・・かおりさんと行きたい」
「あはっ! なに“ナマ”言ってんの? 私よりもっといい人がいるわ。 がんばんなさい」
私、もう26 この子達は高3だから18 八つも違う。
もう楽しかった高校生・・・、少し遠くなっちゃったかなぁ。